保護者の皆様へ

大坪塾長

「てんてんくらぶ」開始にあたって

私立中学入試・県立千葉中・東葛飾中の適性検査・県立高校の入試 どれをとっても「記述」「作文」があります。また、入試を例にとらなくても「社会に出れば」書く力は必要になってきます。また、国語が苦手なお子さんに共通していることは「語彙力がない」ということです。とはいえ実は多数のお子さんが「書くこと」を嫌がり、「語彙力」がありません。
千葉県の高校入試で「集大成」の漢字の書きの問題が出されたことがありました。「集」も「大」も「成」も1つ1つは全て小4までに習う漢字なのですが、この漢字の書きの問題の正答率は30%台。これは「漢字を知らない。」のではなく「言葉を知らない。」ということの証明です。

そこでこのたび朝日新聞の「声」欄を使用して「書き写し」「言葉の意味を調べる」「漢字の練習」そして「『声』を読んで自分の考えを書く」という「てんてんくらぶ」を開始する運びとなりました。「てんてんくらぶ」は 朝日新聞の「天声こども語」もしくは「声」を書き写し、言葉の意味を調べ、意見を書くという「机上の勉強」と 実際に「ジュニア記者クラブ」に参加したり、白井市のふるさと祭り、県立博物館に出かけて記者体験をするという「体験型学習」を組み合わせた 初めての試みとなります。
私はお子様が書いた「書き写し」「意見」を読み、添削致します。先ほど書いたとおり、この「てんてんくらぶ」を通して「漢字力」「語彙力」「記述力」を身につけてほしいと思っています。また、「声」を読むことにより世の中の出来事に興味をもってほしいと思っています。

 

「声」の欄について

子供って「新聞を読まない」「ニュースを見ない」ですよね。これでは「今 日本でもしくは世界で何が起こっておるのか?」ということがわからないし、興味ももてないでしょう。
「声」の欄は最近の出来事に対する読者の意見、または出来事に関係なくても「読者の意見」が書かれています。世の中の出来事を知ることもできますし、世の中の人々の意見を知ることもできます。たまに「声」欄では少し前の投稿に対する意見も載っていますが、これこそ「新聞」のメリットで、新聞をとっておけば1週間前の記事でも見返すことがでます。

3/26の「声」の欄を例にとってみましょう。5つある投稿のうち1つは「我が軍発言は追及すべきだ」という投稿があります。阿部首相が参院予算委員会で自衛隊を「我が軍」と発言したことに対する投稿です。憲法第9条を引き合いに出して非難しています。難しい言葉としては「擁護」「志向」「内閣不信任決議」でしょうか?少し難しい内容ですが、小学校高学年なら考えたい内容です。 またそれとは別に高校生の投稿も掲載されています。「授業中に寝てしまう理由知って」とうタイトルです。高校は勉強が難しく予習復習をしないと授業についていけない。宿題もたくさん出る。日々努力している中でどうしても睡眠不足になってしまうという内容です。ここでは「不可欠」「プレゼンテーション」「過酷」という言葉が難しいでしょうか? 高校生の大変さを知り、そこから自分がどう思うか? 
このように世の中の出来事、人々の意見をまずは知ることが大事です。

また「声」欄の文章はしっかりしたものになっています。作文を書かせると中学生でさえ 原稿用紙1枚全てが1文になっている(原稿用紙に1つも句点(。)がない)ことが少なからずあります。しっかりとした、そして口語表現をつかっていない文章を書き写すことで、文章を書く力が自然と身についてきます。言葉は理屈で身につけるものではありません。からだに自然にしみ込ませるものなのです。だから一朝一夕では身につかないのです。そのためには良い文章を「書き写す」「声を出して読む」ことが必要になってくるのです。

「読み書き」は言葉を習得する方法の1つです。(話はそれますが 中学生の英語の実力アップの方法もやはり「基本例文を書く」「声を出して読む」ことが挙げられます。)

「声」欄を書き写したら次に実行したいことが「言葉の意味を調べる」ことです。紙の辞書を引くのもいいですし、私は「電子辞書」の使用を否定しません。今は「ネット」でも言葉の意味を調べることができます。国語の苦手な子は概して「語彙力のない子」です。言葉の意味がわからずにどうやって読解力をつけられるでしょう? 前職で中学受験をする小6生に「『木枯らし』という言葉から季節がわかるね。」と聞いたことがあります。そうしたら1人が「夏」と答えてきました。どうやら他にも季節がわからない生徒がいます。「木枯らし」の意味を知らないのです。他の1人は「昆虫ではないのか?」と聞いてきます。その時は気づきませんでしたがどうやら「ヒグラシ」と勘違いしていたみたいです。
私立中学を受験する小6の生徒でもこんな感じです。日常の会話では使わなくても国語の文章題なら出てくる言葉はたくさんあります。日常会話では使わないからこそ「文章」を読む必要があります。繰り返しますが語彙力を高めることが読解力をのばす方法の1つです。

書き写して 意味を調べたら 次は「自分の意見を書く」ことです。
投稿を読んでどう思ったか? 初めは一言でもかまいません。「驚いた」とか。そうしたら「何に対して驚いたのか?」書いてみましょう。先ほどの高校生の投稿なら「高校生が授業中に寝ているなんて驚いた。」 そしたら「ではどうすればいいか?」「自分はどうしたいか?」等考えてみましょう。「授業が大変なのは嫌な気がするけれども、自分は授業中寝ないようにしたい。」とか「高校生が大変なことを初めて知った。自分も寝てしまうかもしれない。難しい授業についていけるか自信がない。」とか。何でもいいのです。

意外とこの「思ったことを文章にする」ということは大変です。初めは拙くて当然。というかおそらく初めは一言でしか表現しないでしょう。うまく表現できないなら、今できる表現でかまいません。まずは思ったことを箇条書きにしてみてもいいですね。「驚いた」「高校生が授業中寝てる。」「でも勉強が大変だと初めて知った。」「高校生って大変なんだ。」等々。それを整理して文章にしましょう。初めはうまくいかないでしょう。それでもいいのです。繰り返し実行することで徐々に力はついてきます。あとでも述べますが、ここで保護者の方が手を差し伸べると意味がありません。

そしてまた 1日で全てをこなすことは無理です。出来る範囲からやっていきましょう。
たとえば 1日目⇒投稿を写す 2日目⇒意味調べ・漢字練習 3日目⇒意見を書く等
1日15分前後を目安にして しかし毎日実行しましょう。「継続は力なり」 張り切って1日1時間頑張っても3日坊主では力はつきません。1日15分を1ヵ月⇒3ヵ月⇒半年⇒1年と続けてこそ血となり肉となります。

今一度まとめておきます。
「声」欄は 

  1. 読者の意見 中には最近の世の中の出来事に対する読者の意見が載っている。
  2. 文章もしっかりしている。

よって世の中の出来事を知ったり、様々な意見に触れることができる。

投稿を書き写すことによって 

  1. 書くことに慣れる。文章の書き方が自然に身につく。
  2. 漢字・言葉をおぼえることができる。

自分の意見を書くことによって

  1. 考えたことを整理する訓練になる。
  2. 文章を書く訓練になる。

では、具体的な「学習のしかた」へうつります。

 

学習のしかた

1日目

  1.  まず「天声こども語」「声」「天声人語」(以後「記事」と称します)を

 声を出して読んでみましょう。ゆっくりでよいので 一字一句正しく読みましょう。
読めない漢字があればおうちの人に聞きましょう。

  1.  記事を決められたところに書き写しましょう。こちらも言葉の「抜け」がないか注意しましょう。
  2.  記事を切り取って決められたところに貼(は)りましょう。

2日目

  1. 意味のわからない言葉を調べましょう。辞典でも、電子辞書でも、インターネットでもかまいません。決められたところに意味を書き写しましょう。(おうちの方へ 言葉には複数の意味があります。お子さんがどれかわからないときは 文脈から判断して写すところを指示してください。また、言葉の意味を調べる中でさらにわからない言葉が出てくるかもしれません。そこまで辞書で調べさせるのが理想ではありますが、そうすると長続きしません。口頭で教えてあげてください。)
  2. 書ける自信のない漢字の書き取り練習をしましょう。すでに習った漢字はもちろん、まだ習っていない漢字でも練習しましょう。

3日目

  1.  記事を読んで「思ったこと(感想)」や「自分の考え(意見)」などを書きましょう。初めは一言出てくれば十分です。「驚いた。」「不思議に思った。」等 そこから「何に対して」驚いたり、不思議に思ったのか 聞いてみましょう。意見は まず投稿に対し「自分もそう思う」か「自分はそう思わない」か二択にすると 出しやすいでしょう。

その後、賛成・反対に対し なぜそう思ったか聞いてみましょう。
初めは手がかかりますが、1つ1つ 言ったことをメモさせましょう。一言でいいです。
例 自分はそう思わない。  どんなに大変でも授業中に寝てはいけない。
学校の先生もいっしょうけんめい授業をしている。 失礼等
箇条書きでかまいません。それを文章にしていくのです。
ここで保護者の方が手助けしてしまうと意味がありません。保護者の方から見れば稚拙な文章でもそのまま提出してください。
繰り返し繰り返し訓練することによって徐々に文章はうまくなります。
あたたかい目で見守ってください。
また、初めはこの「意見を書く」ことには時間がかかるかもしれません。
そうしたら3日で終わらせることに固執せず、4日目に文章を完成させてもかまいません。

  1. 時間に余裕があれば、もう一度記事を「声を出して」読んでみましょう。

1日15分前後でかまいません。実施する時間をお子様と話し合って決めましょう。
(夕食前がオススメです。また実施する時間はお子様自身が決めるようにしてください。)

1日目~3日目までは、やろうと思えば1日でできることですが、「長く続ける」ことが大事です。無理せず「長く続けられる」程度にとどめて構いません。
日曜日はお休み もしくは出来なかった日の調整日でかまいません。

保護者の方に余裕があれば お子様に「音読」させ、それを聞いてあげてください。

音読を聞く際のポイント

  1.  読むスピードは気にせずに。まずは正しく読めるかどうかが大事です。
  2.  一字一句間違えずに読めるか?(間違えるたびに注意しなくてかまいません。イヤに  なってしまいます。) 一字一句間違えずに読んだらほめてあげてください。
  3.  正しい文節で区切って読んでいるか?

(間違えて区切っている場合 言葉の意味を知らない可能性があります。)

途中つっかえたりせず、②③をクリアして スラスラと読めるようになったら、
読むスピードを上げていきましょう。
また、低学年のお子様の場合、時に文章を指でなぞりながら読むこともあります。
指でなぞらずに目で文章を追えることができるようにしましょう。
また1行飛ばして読んでしまうこともあります。その時は「1行飛ばした」ことを伝え、間違えた部分からもう一度音読することをオススメします。

とても地道な作業です。そこで子供たちへのご褒美として「ポイント制」を採用しています。10ポイントたまればシール1枚に交換できます。シールのたまった枚数により、景品を用意しています。また体験型学習(ジュニア記者クラブ等)に参加することによってもポイントがもらえます。


≪体験学習≫ 
・スポーツ選手へのインタビュー・白井市のふるさと祭り・県立博物館参加記者体験
・スクラップ教室


3ヵ月・半年と続いたら「語彙・読解力検定」に挑戦してみましょう。小中学生対象の「4級」の受検となるでしょうが、現在5級を開発中とのことです。こちらもまた、単なる「言葉の意味」ではなく最近の世の中の出来事に関する言葉が満載です。

最後に
書くだけの勉強ではなく、様々なイベントに参加できる「てんてんくらぶ」に参加して、お子様がいろいろなことに興味を持ち、記述力をつけ、そして何よりも「毎日机に向かう習慣」をもたれることを希望します。

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